ハステロイのマシニング加工
ハステロイのマシニング加工は困難だと、どこかで聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。厳密に言うとハステロイは切削が難しい材料なので、「難削材」と言われています。しかし、ハステロイのマシニング加工は不可能ではありません。
タムラエジアでは、5軸マシニングセンタを保有しており、技術の高いエンジニアがおりますので、ハステロイの加工に対応可能です。このように、対応可能な加工機を使用することで加工はできますが、中にはさまざまな理由から依頼を断られることがありますので、注意が必要です。
マシニングセンタでどんな加工ができる?
マシニングセンタは、そもそもどのような加工ができるかご存知でしょうか。マシニングセンタとは、工具を回転させて固定したワークを削ることができる工作機械です。
なお、日本工作機械工業会では、フライス削り、中ぐり、穴あけ、ねじ立て、リーマ仕上げなど多種類の加工を連続で行うことができ、自動で工具を交換できる機能を備えたものをマシニングセンタと説明しています。
加工名 | 加工内容 |
---|---|
フライス削り | 平面・側面を削る |
中ぐり | あけた穴を所定の大きさに広げる |
穴あけ | ボルト、軸受、位置決めなどに使われる穴をあける |
ねじ立て | ねじ穴をあける |
リーマ仕上げ | 穴の精度を高める |
3軸・4軸・5軸マシニングセンタの違いとは?
マシニングセンタは3軸、4軸、5軸と書かれていることがありますが、これは同時に制御できる軸の数を表しています。
マシニングセンタは、直線方向に動くX軸、Y軸、Z軸の3軸を、それぞれ左右・前後・上下に移動させることで、ワークを所定の形状に切削することができます。この3つの駆動軸を制御するマシニングセンタを、3軸マシニングセンタと呼ぶことがあります。3軸マシニングセンタは、直線的な動きしかできないため、斜面や曲面の加工はできません。
駆動軸に加え、回転軸を一つ加えたものを4軸マシニングセンタと言います。回転も含まれるため、より複雑な形状にも対応します。さらに回転軸をもう一つ加えた、3(直線軸)+2(回転軸)の計5軸を同時に動かせるのが5軸マシニングセンタです。5軸マシニングセンタでは、3軸では対応できない曲面や斜面の加工を行うことができます。
タムラエジアでは、同時5軸加工が可能なマシニングセンタをはじめ、最新の設備を整えています。5軸を同時に動かすのは難易度が高いですが、高度な技術力と鋭い感覚を持つエンジニアが、複雑な加工にも対応いたします。
ハステロイの特徴
ハステロイは切削が難しい素材であることを冒頭でも説明しましたが、その理由は材料の特性にあります。加工会社によっては以下の理由で断られることがあります。
- 工具の消耗が激しくてコスパが悪いため
- 対応可能な機械がないまたは技術者がいないため
- 材料が高価なので失敗したときのリスクが大きいため
なぜこのように断られることがあるのか、ここからはハステロイの特徴や切削が難しい理由について詳しくご説明します。ハステロイについてより理解を深めたい方は、ぜひご一読ください。
強み・弱点・用途について
ハステロイの強みは、耐食性・耐熱性に優れていることです。厳しい環境下でも腐食しにくく、さらには酸化剤や塩化剤などの腐食源にも高い耐性があります。こういった特徴があることから、化学装置部品や海水浸漬部品などに使用されます。
また、高温下で熱の影響を受けにくい素材です。そのため、高温にさらされる環境でも機械的強度が保たれます。この特性から、工業用炉の部品や焼却プラントなどに用いられます。
ハステロイの弱点は、材料の価格が高いことです。これは、ハステロイに高価な合金成分が含まれているためです。先述したように、高価な材料は加工に失敗した場合のリスクが大きく、これも加工の難易度を高くしている要因になっています。そして、もう一つの弱点は被削性が悪いことです。被削性につきましては、次の章で詳しく解説します。
ハステロイの切削加工が難しい理由
ハステロイの切削加工が難しい理由は、先ほど弱点として挙げたように、被削性が悪いためです。なぜ被削性が悪いのか、ここではもっと詳しく見ていきましょう。
ハステロイは、切削する際に硬化してしまいます。硬い素材は工具に大きな負担をかけるため、加工性の良い金属に比べると消耗が激しくなります。したがって、加工におけるコスパが悪いことから、依頼を受けたくないと考える業者もいるでしょう。
その他にも、工具との親和性が高いことから摩耗が進むだけでなく、加工精度にも影響を与えます。このような理由から、ハステロイは難削材と言われているのです。
ハステロイのマシニング加工の事例
ハステロイの特徴を見ると、マシニング加工で対応できるのか不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、タムラエジアが実際に手掛けた製作事例をご紹介します。
▼こちらの事例は、溶接なしで丸材から削り出して作製しました。仕上がりも綺麗です。
▼こちらは試作段階の部品です。※試作段階のため材質はアルミですが、最終的にハステロイで同じ形状の部品を製作しました。
▼こちらは品質よく仕上げたバレルヘッドの製作事例です。
タムラエジアでは、マシニング加工だけでなく、機械加工、磨き加工、表面処理、溶接なども必要に応じて行っています。また、今回の事例でご紹介した機械部品のほか、治具や押出金型の製作にも対応しています。
難削材のマシニング加工のご依頼はこちら
難削材のマシニング加工はタムラエジアへご相談ください。ハステロイは、難しく扱いにくいため、対応ができないと言われたり、予想以上に納期がかかると言われた経験がある方もいるかもしれません。
タムラエジアでは、作業の動線を整えているため、ハステロイの加工にもスピーディーに対応できます。また、各工程で必要な検査を徹底しており、高品質に仕上げますので、品質に関してもお客様からご満足いただいております。ご依頼やご相談は以下のお問い合わせ先へお問い合せください。
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